夏の盛りを超え、気温と湿気が
穏やかに落ち着きはじめた今日この頃。
陽が落ちた後に、涼しい風が頰を撫でると
リラックスできるという方も多いでしょう。
そんな秋の始まりに
美しい歌声を響き渡らせる存在があります。
都会でも、わずかな草花の茂みから
澄み切った鳴き声で人々を魅了する存在。
そう、鈴虫です。
リーンリーンと、一鳴きすれば辺り一面に響き渡る鳴き声は、
絶大な癒しをもたらします。
実際、鈴虫の鳴き声には
PTSDの治療にも役立つという研究結果もあるよう。
また、鈴虫の声は長らく、日本人を魅了してきました。
古くは平安時代。
貴族の間には、すでにその鳴き声を愛でる
文化があったといわれています。
清少納言や源氏物語にも鈴虫は登場しますし、
平安貴族の間では、鈴虫などを庭に放ち、鳴き声を愉しむ
「野放ち」も人気でした。
また、江戸時代には、鈴虫を売る「虫売り」も
活躍したそうです。
そんな、人々を魅了する鈴虫の声も
毎日忙しく過ごす現代人の耳には遠く、響かないこともあるかもしれません。
虫の声に耳を澄ます。
余裕がないと難しいですよね。
しかし、日常の取るに足らないできごとの中に
小さな幸福があると、私たちは経験則で知っています。
今年はぜひ
鈴虫たちの熱唱に耳をすませる時間を
つくってみてはいかがでしょうか。