

美白、ハリ、保湿など、肌悩みに選ぶべき美容成分とは?
基礎知識やトレンドを美容のプロが教えます
『シワ改善!』などと謳う化粧品の広告で見かける「ナイアシンアミド」や「レチノール」といった言葉。これらは、今注目の美容成分。そもそも美容成分とは何でしょうか。どんな効果があって、どう使えばいいのか。専門家にお聞きしました。
お話を伺ったのは…

美容コンサルタント
岡部 美代治(オカベミヨジ) さん
(株)コーセー研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティング等を担当。
数多くのヒット商品を手がける。現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発アドバイス、美容教育アドバイスなどを行う他、講演・セミナーの依頼も多い。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた多くの経験をもとに、化粧品を中心とした美容全般をわかりやすく解説し、正しい美容情報を発信している。著書に『正しく知る・賢く選ぶ 美容成分大全』(ナツメ社)などがある。
※ヤーマンより依頼したコメントを抜粋・編集の上掲載しています
「美容成分」とはそもそも何のこと?
簡潔に言うと、肌に美容効果をもたらすものを「美容成分」と定義します。たとえば水でも、乾燥した肌を潤す効果がありますから美容成分と言えますし、オリーブオイルも肌を滑らかにする効果があります。これは、オリーブオイルに含まれているトリグリセリドやビタミンEという美容成分のおかげ。

「美容成分には進化の歴史があります。古くはアロエや海藻などが重宝され、その後ハトムギエキスやカミツレ花セキスなどの和漢植物、ハーブなどが登場しました。
そしてプラセンタやコラーゲン、発酵エキスなどが台頭し、美白ブームの到来で美白化粧品が誕生。徐々に手応えのある化粧品のニーズが高まって、美容成分の研究は加速度的に進みました。現在では、美容効果を主な目的に配合されるものを美容成分と思えば良いでしょう。
これからは再生医療の分野からも美容に有効な成分が登場するでしょう。ヒト幹細胞美容液といった予防医療の領域で使われるものも登場してきています」と、岡部美代治さん。
植物由来のものもあるし、化学合成されたものもありますが、美容目的に使われる成分はいずれも安全性の高いものが使われているそうです。
美容成分にトレンドがあるのはなぜ?
最近耳にするのは「ナイアシンアミド」や「レチノール」「ビタミンC誘導体」など。ヒアルロン酸やコラーゲンは肌に重要なものにも関わらず、最近はあまり話題になりません。なぜこうした美容成分のトレンドが生まれるのでしょうか。
「ヒアルロン酸やコラーゲンは、美容成分としてもはや当たり前のものになってしまい、目立たなくなりました。縁の下の力持ち的な存在ですね。とはいえ、大変に優れた成分ですから侮ることはできません。『5種のヒアルロン酸配合』といった商品も生まれています。

※ ツボクサのイメージ
美容成分のトレンドが生まれるのは、新しいものが求められるという市場のニーズがあり、メーカー側の戦略もあります。CICA(シカ)はその良い例です。
CICAの美容成分はツボクサエキスで昔からあるものですが、それに“CICA”というキャッチ―な名前を付け、グリーンのイメージで商品展開をしたことで一気にトレンド成分になりました。まさに芸能事務所がアイドルを世に出すようなものですね。
原料として供給も安定しており、化粧品に配合しやすいこと、そして効果を実感しやすいことなどが“スター成分”になる要素。すると商品数も増え、ベストコスメなどに名を連ねてトレンドが生まれるというわけです。
たとえばグリチルリチン酸ジカリウムは地味な成分ですが肌荒れ改善効果があり、医薬部外品として注目されている。今後、美容アイテムも増えていくと思います。まさにスターになる可能性を秘めています」
肌悩みに取り入れたい、いま注目の美容成分一覧
いま話題の10の美容成分をご紹介。美白からシワ改善まで、優秀なスター成分が勢ぞろいです。
美容成分 | 成分の特徴 | 主な美容効果 ※個人差があります |
|
---|---|---|---|
1 | アルブチン | シミの治療薬成分に似た構造を持つ、美白ケアの救世主。医薬部外品に認められているのは「β-アルブチン」で、コケモモや梨、マッシュルームなどに含まれている。メラニンの生成を抑制する働きがあり、日焼けをしたときはメラニンがつくられる72時間以内にアルブチン配合の化粧品を使うのが効果的。 | 美白、肌荒れ予防 |
2 | グリチルリチン酸 ジカリウム |
マメ科の植物、カンゾウの根や茎から抽出精製した成分。抗炎症効果が高く、肌荒れ防止成分として医薬部外品にも承認されている。その高い炎症改善効果から口内炎や喉の炎症薬としても使われる成分。また、セラミドの働きをサポートするなど化粧品開発者にとってはお守りのような成分。 | 肌荒れ予防、抗アレルギー、 毛穴ケア、ニキビケア |
3 | セラミド類 | 角質を構成する細胞間脂質に含まれるセラミドと同じ、または似た構造をもつ成分。バリア機能を高め、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐ役割がある。クレンジング、スキンケア、ヘアケアアイテムとさまざまな商品に配合される、保湿に欠かせない成分。セラミドが十分ある肌はしっとり、もちもちの状態に。 | 保湿、バリア機能 |
4 | ツボクサエキス (CICA) |
古来、民間治療やアーユルヴェーダ、漢方に重宝されてきた「ツボクサエキス」から抽出された成分。傷ついた虎がツボクサに体をこすりつけたら治癒したという由来から「タイガーハーブ」とも呼ばれ、肌荒れ予防等が期待できる。敏感肌にも使える低刺激のものが多い。CICAという名前はツボクサエキスの学名「Centella Asiatica」からという説もある。 | 抗菌、抗炎症、抗酸化、 バリア機能、肌荒れ予防 |
5 | トラネキサム酸 | 美白の有効成分として、2002年に医薬部外品に承認されたアミノ酸の一種。紫外線を浴びて肌が炎症を起こしたときに、メラニンを生成する「チロシナーゼ」の活性を抑制。安定配合の技術も向上し、配合化粧品も増えている。改善が難しい肝斑の医薬品にも配合。 | 美白、鎮静、肌荒れ予防 |
6 | ナイアシンアミド | 美白、肌荒れ、シワ改善の3つの有効成分として承認されている美容成分。マルチな働きで注目されている。水溶性ビタミンBの一種で、食品では玄米や鶏むね肉、豚肉、ブリ、カツオなどに多く含まれ、食事からも摂取できる。美容効果としては、エイジングや炎症を引き起こす要因を除去する効果が。化粧品の酸化防止剤としても配合されるスーパー成分。 | 美白、肌荒れ、シワ改善、 抗酸化、肌荒れ予防 |
7 | バクチオール | オランダビユというマメ科の植物由来。インドのアーユルヴェーダや中国の伝統医学に重用されてきた。レチノールに似た効果をもちながら、植物由来で刺激が少なく、ゆるやかな効き目で肌にやさしいため「次世代レチノール」として注目されている。 | シワ改善、ハリ、弾力感、 美白、抗菌、抗炎症 |
8 | ビタミンC |
美容成分のマルチプレイヤーともいえるビタミンC。ピュアビタミンCやビタミンC誘導体、高濃度ビタミンCなど、さまざまな成分が注目されている。 ビタミンCそのものは「アスコルビン酸」で、柑橘類や緑黄色野菜に含まれる水溶性のビタミン。ピュアビタミンCと呼ばれるのは、アスコルビン酸を指す。即効性があるが熱や光に弱く、水に濡れると酸化しやすく壊れやすいため、肌に浸透しにくいという特徴がある。そのため、化粧品には安定性を高めたビタミンC誘導体が使用される。 ビタミンC誘導体とはピュアビタミンCを改良し、安定性や浸透性を高めたもの。ビタミンCの効果はそのままに、他の美容成分との組み合わせも可能に。美白ケアやコラーゲンの生成、抗酸化などさまざまな美容効果が期待できる。美容医療では高濃度ビタミンCは、注射や点滴で体内に取り入れることもある。 |
抗酸化、美白、 ハリ、弾力感 |
9 | ペプチド類 | ペプチドとは、複数のアミノ酸がつながった化合物のこと。ペプチドが集まったものがたんぱく質となる。組み合わせにより数百から数千の種類があり、作用もそれぞれ異なる。代表的なのはコラーゲンを分解して肌への浸透を高める低分子のコラーゲンペプチド。コラーゲンやエラスチンの生成をサポートし、ハリや弾力を改善。生体反応をコントロールする機能性ペプチドも増えている。 | ターンオーバー促進、 ハリ、弾力感 |
10 | レチノール (ビタミンA) |
シワ改善に高い効果があると注目されているのは「純粋レチノール」と呼ばれるもの。従来のレチノールと同様、表皮の水分量を増やすだけでなく、ターンオーバーを促して真皮構造を立て直す効果が。深い真皮ジワまでアプローチできると期待されている。コラーゲンやヒアルロン酸の生成促進効果もあり、ハリや弾力アップも期待できる。安定性を高めたレチノール誘導体も着目されている。 | シワ改善、ハリ、弾力感、 ターンオーバー促進 |
アルブチン |
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成分の特徴 |
シミの治療薬成分に似た構造を持つ、美白ケアの救世主。医薬部外品に認められているのは「β-アルブチン」で、コケモモや梨、マッシュルームなどに含まれている。メラニンの生成を抑制する働きがあり、日焼けをしたときはメラニンがつくられる72時間以内にアルブチン配合の化粧品を使うのが効果的。 |
主な美容効果 |
美白、肌荒れ予防 |
グリチルリチン酸ジカリウム |
成分の特徴 |
マメ科の植物、カンゾウの根や茎から抽出精製した成分。抗炎症効果が高く、肌荒れ防止成分として医薬部外品にも承認されている。その高い炎症改善効果から口内炎や喉の炎症薬としても使われる成分。また、セラミドの働きをサポートするなど化粧品開発者にとってはお守りのような成分。 |
主な美容効果 |
肌荒れ予防、抗アレルギー、毛穴ケア、ニキビケア |
セラミド類 |
成分の特徴 |
角質を構成する細胞間脂質に含まれるセラミドと同じ、または似た構造をもつ成分。バリア機能を高め、皮膚から水分が蒸発するのを防ぐ役割がある。クレンジング、スキンケア、ヘアケアアイテムとさまざまな商品に配合される、保湿に欠かせない成分。セラミドが十分ある肌はしっとり、もちもちの状態に。 |
主な美容効果 |
保湿、バリア機能 |
ツボクサエキス(CICA) |
成分の特徴 |
古来、民間治療やアーユルヴェーダ、漢方に重宝されてきた「ツボクサエキス」から抽出された成分。傷ついた虎がツボクサに体をこすりつけたら治癒したという由来から「タイガーハーブ」とも呼ばれ、肌荒れ予防等が期待できる。敏感肌にも使える低刺激のものが多い。CICAという名前はツボクサエキスの学名「Centella Asiatica」からという説もある。 |
主な美容効果 |
抗菌、抗炎症、抗酸化、バリア機能、肌荒れ予防 |
トラネキサム酸 |
成分の特徴 |
美白の有効成分として、2002年に医薬部外品に承認されたアミノ酸の一種。紫外線を浴びて肌が炎症を起こしたときに、メラニンを生成する「チロシナーゼ」の活性を抑制。安定配合の技術も向上し、配合化粧品も増えている。改善が難しい肝斑の医薬品にも配合。 |
主な美容効果 |
美白、鎮静、肌荒れ予防 |
ナイアシンアミド |
成分の特徴 |
美白、肌荒れ、シワ改善の3つの有効成分として承認されている美容成分。マルチな働きで注目されている。水溶性ビタミンBの一種で、食品では玄米や鶏むね肉、豚肉、ブリ、カツオなどに多く含まれ、食事からも摂取できる。美容効果としては、エイジングや炎症を引き起こす要因を除去する効果が。化粧品の酸化防止剤としても配合されるスーパー成分。 |
主な美容効果 |
美白、肌荒れ、シワ改善、抗酸化、肌荒れ予防 |
バクチオール |
成分の特徴 |
オランダビユというマメ科の植物由来。インドのアーユルヴェーダや中国の伝統医学に重用されてきた。レチノールに似た効果をもちながら、植物由来で刺激が少なく、ゆるやかな効き目で肌にやさしいため「次世代レチノール」として注目されている。 |
主な美容効果 |
シワ改善、ハリ、弾力感、美白、抗菌、抗炎症 |
ビタミンC |
成分の特徴 |
美容成分のマルチプレイヤーともいえるビタミンC。ピュアビタミンCやビタミンC誘導体、高濃度ビタミンCなど、さまざまな成分が注目されている。 ビタミンCそのものは「アスコルビン酸」で、柑橘類や緑黄色野菜に含まれる水溶性のビタミン。ピュアビタミンCと呼ばれるのは、アスコルビン酸を指す。即効性があるが熱や光に弱く、水に濡れると酸化しやすく壊れやすいため、肌に浸透しにくいという特徴がある。そのため、化粧品には安定性を高めたビタミンC誘導体が使用される。 ビタミンC誘導体とはピュアビタミンCを改良し、安定性や浸透性を高めたもの。ビタミンCの効果はそのままに、他の美容成分との組み合わせも可能に。美白ケアやコラーゲンの生成、抗酸化などさまざまな美容効果が期待できる。美容医療では高濃度ビタミンCは、注射や点滴で体内に取り入れることもある。 |
主な美容効果 |
抗酸化、美白、ハリ、弾力感 |
ペプチド類 |
成分の特徴 |
ペプチドとは、複数のアミノ酸がつながった化合物のこと。ペプチドが集まったものがたんぱく質となる。組み合わせにより数百から数千の種類があり、作用もそれぞれ異なる。代表的なのはコラーゲンを分解して肌への浸透を高める低分子のコラーゲンペプチド。コラーゲンやエラスチンの生成をサポートし、ハリや弾力を改善。生体反応をコントロールする機能性ペプチドも増えている。 |
主な美容効果 |
ターンオーバー促進、ハリ、弾力感 |
レチノール(ビタミンA) |
成分の特徴 |
シワ改善に高い効果があると注目されているのは「純粋レチノール」と呼ばれるもの。従来のレチノールと同様、表皮の水分量を増やすだけでなく、ターンオーバーを促して真皮構造を立て直す効果が。深い真皮ジワまでアプローチできると期待されている。コラーゲンやヒアルロン酸の生成促進効果もあり、ハリや弾力アップも期待できる。安定性を高めたレチノール誘導体も着目されている。 |
主な美容効果 |
シワ改善、ハリ、弾力感、ターンオーバー促進 |
もっと知りたい美容成分Q&A

美容成分同士はケンカしないのでしょうか?いろいろ組み合わせて使っても大丈夫ですか?
化粧品に使われている成分は安全性が考慮されているので、ケンカすることはほとんどありません。ただし、スキンケアは同じブランドのものをライン使いすることでより相乗効果を得られます。話題の美容成分だけにこだわって化粧品をピンポイントで選ぶよりも、トータルで設計された効果に期待しましょう。気になる成分の美容液などを1点投入するのは問題ありません。
「独自成分」を売りにしている化粧品がありますが、美容成分として信頼できるものでしょうか?
化粧品を選ぶ際は、美容成分よりもメーカーの考え方や商品のコンセプトに共感できるかどうかが大切です。そういう意味では、自分が信頼できるメーカーのものを選ぶのが正しいスキンケアの第一歩です。
では「独自成分」とは何かというと、化粧品メーカーの多くは原料を専門のメーカーから仕入れ、そこから処方などを考えて商品開発を行うのがほとんど。その中で、組み合わせを発見したり、原料から美容効果を発見することも。そういった成分が「独自成分」として発表されます。
化粧品を購入する際に、全成分表示は見たほうがよいですか?
敏感肌やアレルギーのある人は、該当の成分が入っていないかチェックする目的で見るのはよいと思いますが、基本的には見る必要はありません。商品として売り出したい話題の成分は、パッケージなどにも表示されています。それをチェックするくらいで十分です。
自分に合う美容成分を見つけるにはどうしたらよいですか?
スキンケアはひとつの美容成分で完結するものではなく、トータルで効果を得るものです。そして、時間をかけて効果実感をするもの。たとえば『即効性のあるビタミンCだけを塗っておけばいい』というものではありません。
まずは「使ってみたい」と思う美容成分の商品を選んで、肌が生まれ変わる4週間を目安にしっかり使うことをおすすめします。そして肌の調子がよい、気持ちがよいと感じたらそれは自分に合っているというサインです。たとえばナイアシンアミドは化粧水にも乳液、美容液、クリームなどに配合されていますが、どのアイテムで使うかは、気分で選ぶくらいで構いません。
まとめ
どんどん新しい美容成分が登場しますが、トレンドになる成分はどれも“スター性”を秘めているもの。ぜひ毎日のスキンケアに取り入れて、効果を楽しんでみましょう。

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