2024.10.11(FRI)

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白髪・パサつき・うねり…40代からの髪の悩みに、
毛髪診断士が行う頭皮エイジングケアのススメ

疲れやストレスがエイジングサイン として現れやすい40代。白髪や抜け毛、髪のパサつき、うねりといった髪の変化は、肌のたるみやシミなどと並ぶ悩みです。
美髪の味方「毛髪診断士」の資格を持つヘアメイクアーティストが、おすすめの頭皮ケアと、40代50代になってもサラツヤ髪をキープするナイトルーティンをご紹介します。

お話を伺ったのは…

ヘアサロン EMBELLIR/EMBELLIR fleur 代表
鈴木 富美子 さん

ヘアメイクアップアーティスト・毛髪診断士。2014年に表参道のヘアサロン『EMBELLIR』をオープンし、海外セミナー、雑誌、ブライダル関連などで活躍。
上品かつエレガントなスタイルが支持を集め、毛髪診断士としての知識を生かした頭皮や毛髪のお悩みアドバイザーとしても信頼を得ている。
著書に『おしゃれな着物の髪型カタログ』(世界文化社刊)など。

※ヤーマンから依頼したコメントを掲載しています。

40代からの髪の悩み、原因は頭皮にも?

20代のころはシャンプーだけでもツヤツヤ髪をキープできていたのに、30歳を過ぎたあたりから髪の質がだいぶ変わってきてしまった…。そんな髪の変化が気になる女性の方は多いのではないでしょうか。
40代ともなると白髪が増えてカラーリングの頻度も高まるため、髪のパサつきやうねりといった悩みもより深刻に

そもそも白髪が増えたり、髪のうねりやパサつきはなぜ起こるのでしょう?
「40代になって白髪が増えるのは、黒い髪を保つのに欠かせない女性ホルモンの分泌量が落ちてくるため。ホルモンの減少は髪の毛の水分バランスにも影響しますし、髪のパサつきは、乾燥や紫外線など外部からの刺激によっても起こります」(鈴木さん)
そして、そうした髪の悩み、実は頭皮の血行不良とも深い関係があるのだそう。
「東洋医学では髪の毛は『血の余り』と考えられていて、頭皮の血のめぐりが悪いと髪の毛がパサついたり細くなったり、健康的な髪が生えにくいと言われているんです。そもそも毛髪は頭皮の死んだ細胞が押し出されたもの。髪が植物だとしたら、その土壌である頭皮をふかふかで栄養のある状態にしてあげることが大切です」(鈴木さん)

ふだん髪でかくれている頭皮は、目視する機会が少ないため、ケアもおろそかにしがち。
「髪が傷んでいると髪の毛ばかり注目しがちですが、健康な髪を維持していくには、むしろ頭皮の状態をよくしてあげたり、血流が滞らないよう体にいい習慣をこころがける方が大切です。髪の毛は裏切りません。頭皮をケアすれば髪の毛もそれに応えて頑張ろうとしてくれますよ」(鈴木さん)

頭皮の状態は色・硬さ・匂いでチェック

今回は、鈴木さんのおすすめする頭皮のセルフケアとして、正しいブラッシング方法と頭皮マッサージをご紹介しますが、まずは自分の頭皮がどのような状態なのかチェックしてみましょう。
「私たち毛髪診断士は、頭皮の状態を色でチェックしています。髪を掻き分けて地肌を見たとき、健康な頭皮の人はキメが細かくて青白いんですよ。状態の悪い頭皮は、黄色かったり赤かったりしますが、いずれにしても血行が悪いために角質がたまったり、ターンオーバーの乱れによって頭皮がカチカチになっている状態です」(鈴木さん)

※色はイメージです

春先はアレルギーの影響で黄色い人が多かったり、夏は日焼けして赤くなってしまう人が多くなるなど、頭皮は季節によってもダメージの受け方が違います
エイジングヘアにお悩みの方は、鏡に映したり、スマホのカメラで撮るなどして、さっそく自分の地肌が何色かをチェックしてみましょう。スマホ用のマイクロスコープという小さな顕微鏡を購入しスマホに取り付けて頭皮を拡大すると、よりくわしく確認することができます。
「また、指の腹で頭皮を軽く押し動かしてみて、動かないようであれば頭皮が硬くなっています。頭皮の匂いが気になる場合は、過剰に皮脂が分泌され老廃物が毛穴に詰まった状態と言えるでしょう」(鈴木さん)

ブラッシング&マッサージで頭皮を改善

白髪や髪のパサつき、うねりを改善したい方はもちろん、髪と頭皮の健康をキープするのにぜひおすすめしたいのが、シャンプー前のブラッシングとシャンプー後の頭皮マッサージ
ブラッシングは朝のヘアセットの前に行う方が多いと思いますが、シャンプー前にも行うと頭皮の改善に効果的。1日の髪と頭皮の汚れをしっかり落とすことができ、頭皮を健やかに保つことができます。
毎日の帰宅後、次のナイトルーティンを習慣化してみてください。

  • ① シャンプー前にクッションブラシでブラッシング
  • ② 適温でやさしくシャンプー
  • ③ シャンプー後に頭皮のマッサージ

※写真のような土台がゴム製となっているクッションブラシ

以下、それぞれのポイントをご紹介していきます!

シャンプー前にブラッシングする

「ブラッシングは髪についたほこりや自然と抜けた髪を落としてくれますし、頭皮の血行を良くし、余計な角質を落としてくれます。また、頭皮からの皮脂の分泌を促し、髪に行き渡らせて潤いを与える効果もあります」(鈴木さん)
ポイントは、直接頭皮に当てても地肌が傷まないクッションブラシを使用すること。
「髪のキューティクルにとって摩擦は大敵。髪の長い方は強引に引っ張ることのないよう、毛先からやさしくブラッシングすることが大切です」(鈴木さん)

1. もつれやすい人は毛先から丁寧に

2. 続いて髪を全体的にブラッシング

3. 生え際から頭皮にブラシを当て、
頭頂に向かってブラッシング

ただし、髪が濡れているときはキューティクルが開いている状態なので無理なブラッシングはNG。薄毛につながるおそれがあります。
またブラッシングはたくさんやればいいものではありません。やりすぎて逆に頭皮を傷めないよう注意しましょう。

シャンプーはシャワーの温度に注意して

シャンプーは、シャワーの温度を低めにしてから行うのがポイントです。
「40度くらいのままで髪を洗っている方が多いのですが、ベストは36〜37度。とくに日差しの強い日は、頭皮が日焼けし、炎症を起こしている状態ですので、熱いお湯はNGです。低めの温度に設定し、頭皮の地肌を洗うように丁寧にシャンプーしましょう」(鈴木さん)

※髪よりも頭皮を洗うように、やさしく丁寧にシャンプーする

なお、シャンプー剤に関しては「いまの自分の頭皮と髪質に合うものを選択することが大切」と鈴木さんは言います。
「よくシリコンはダメ、オーガニックのほうがいいと言われますが、実はシリコンのほうが合っていて、ノンシリコンだとパサついてしまう方もいます。頭皮の状態は年齢によっても変わりますし、油脂肌・乾燥肌・敏感肌といった個人差もあります。合うシャンプーが見つからない方は、一度美容師などプロに相談するほうが早く解決できるでしょう」(鈴木さん)

シャンプー後は頭皮のマッサージを

シャンプーの後、しっかりと頭を拭いたら、頭皮用の化粧水をつけてマッサージを行いましょう。
頭への血流は、首から入って頭のてっぺん、顔周りに行き、また首に帰ってきますが、頭部はハチの膨らみがあるため、頭のてっぺんは血流が滞って硬くなりやすい箇所。
また、血流が届きにくい顔まわりも、とくに白髪が出やすい部分です。
「髪が黒いのは、毛乳頭にあるメラノサイトという細胞が働いてメラニン色素を毛髪へ受け渡しているため。頭皮マッサージで血流を促すと、髪に必要な栄養素が血液を通してメラノサイトに届けられ、メラノサイトの働きが高まります。あくまで可能性ですが、白髪が再び黒髪に戻ることもあるんです」(鈴木さん)

頭皮マッサージによって髪を黒くするための指令が再開されれば、もちろん白髪の予防にもつながります。
マッサージでほぐすポイントは、1. 側頭筋、2. 後頭筋、3.帽状腱膜、4. 首のリンパの4つ。
強く押してしまうと毛細血管が壊れてしまう恐れがあるので要注意。保湿効果のある化粧水を使って、指の腹で優しくなでるくらいの強さで行ってください。

1.側頭筋

2.後頭筋

3.帽状腱膜

4.首のリンパ

  • 1.側頭筋

    日々のストレスや緊張による食いしばり、自律神経の乱れなどから「こり」が発生しやすい筋肉。

  • 2.後頭筋

    重い頭を支える後頭部から首にかけての筋肉。長時間デスクワークを続けているとこり固まりやすく、肩こりや頭痛につながる。

  • 3.帽状腱膜

    帽子のように頭を覆っている筋膜。ここの血行が悪いと薄毛や白髪、抜け毛の要因に。筋膜の癒着を取ってあげるようにマッサージ。

  • 4.首のリンパ

    頭皮へ栄養を届ける血液の出入り口。人差し指から小指の4本の腹を当てて、耳の下から鎖骨にかけて優しくなでるように。

「シャンプー前後のブラッシングと頭皮マッサージは、まず1ヶ月を目安に続けてみてください。きっと効果が実感できると思います。頭皮のマッサージは、朝に行っても気持ちいいですし、シャンプー前に行うのも効果的です」(鈴木さん)

美容というと顔を意識しがちですが、顔と頭皮は一枚の皮でつながっているもの。頭皮のケアはうれしいことに髪ばかりでなく、美顔効果も期待できるのだそう。
「手で側頭筋のマッサージをすることで、ほうれい線にもアプローチでき、リフトアップや小顔効果も期待できます。顔のむくみが取れ、お肌の色が明るく健康的になるなど、エイジングケアという観点でいうと、顔をがんばるよりも頭皮のハンドケアをする方が近道かもしれません」(鈴木さん)

※年齢に応じたお手入れ

サロンでできるスペシャルな頭皮ケアとは

なかなか合うシャンプーが見つからない、セルフケアでは頭皮のトラブルがおさまらない、白髪が多いので髪や頭皮にダメージがないようにカラーリングしたい…etc、そんな方はプロの美容師に相談してみるのもおすすめです。
「普通肌の方、乾燥肌や敏感肌の方は、化粧水で保湿しながら頭皮ケアを行うのがおすすめですが、もともと脂性肌の方はオイルを使ったマッサージの方が汚れが落ちる場合があります」(鈴木さん)

また、サロンでは一般的なヘッドスパのほかにも、頭皮を健やかにするスペシャルなメニューも用意されています。
「サロンでは生薬を使った頭皮洗浄も行っています。白髪染めにヘナを選ぶお客さまも多いですね。天然のヘナは白髪にしか色が入らずオレンジ色に染まりますが、頭皮の熱をとってくれるメリットがあります」(鈴木さん)
近年はバイオプログラミングによって開発された「カラーファンタジー」というカラー剤も登場。カラーファンタジーは、これまでのヘアカラーと違って髪質や頭皮の環境を改善し、白髪染めで傷んだり細くなりがちな髪を「素の髪」に戻す効果があるのだそう。

大人世代が若見えするのに髪の印象は極めて重要。女性のみならず男性も、必要性に迫られる前から予防美容に取り組めるのがベストです。
毎日の頭皮ケアと、サロンでのスペシャルなケアを組み合わせ、40代になっても周りが羨むような褒められ髪をめざしましょう。

YA-MAN Beauty-Plus
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